その淑女はクリームソーダがお好き


よく晴れた日の午後、私、久珠井星莉が少しだけ遠出をして向かったのは、今までずっと行ってみたいと思っていたカフェ。

可愛らしい見た目のそのカフェは、訪れた人の好きなものをなんでも注文できるという。居酒屋などでは聞いたことがあるが、まさかカフェでもそんなシステムのお店があるとは思っていなかったので、知り合いからその話を聞いた時から、私はずっとずっと今日が楽しみで仕方なかったのだ。某マップを見ながらてくてくと駅から歩くこと十分。ストリートビューに掲載されていた通りの、可愛らしいカフェが通り沿いにたたずんでいた。扉を開けると、カランコロンと軽快な音が私の来店を告げる。中に入ると、目の前には広々とした空間が広がり、そこにゆとりを持ってテーブルと椅子が配置されていた。お客さんはまばらにいて、それぞれが楽しそうに食事やティータイムを楽しんでいた。店内にはカウンター席もあり、カウンターの向こうにはおそらく厨房に続いているであろう入り口があった。その入り口から店員さんが出て来て、私ににっこりと笑いながら、

「いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてでしょうか?」

と言ったので、私はこくりと首を縦に振った。続けて、何名様ですか? と聞かれたので人差し指を上に向けて立てて、一人であることを伝えた。すると店員さんは、またにっこりと笑い深く頷くと、私を先まで誘導した。

案内された席はカウンター席で、少し高い椅子に腰掛けると、椅子は思いの外ふかふかしていた。店員さんが頃合いを見計らって、私に説明をはじめた。

「本日はご来店ありがとうございます。当店ではメニューのご用意をしておりません。お客様のお召し上がりになりたいものをお作りいたします。ただ、メニューによってはお待たせいたします可能性もございますのでご了承ください。」

そう言うと、店員さんは、私にお冷とおしぼりを差し出して、お召し上がりになりたいお食事がお決まりになりましたらお声掛けください。と言って厨房に入って行った。

さて、何を食べようか。私はうーん、と頭を悩ませた。そして、ふと思った。現在の季節は春。そう。私の大好きな苺の季節。

決めた、今日は苺の日にする。そう決めると私の行動は速かった。すぐに店員さんを呼び、注文する。

「苺を使ったスイーツを三つと、ストロベリーフレーバーのミルクティーをお願いします」

私がそう言うと、店員さんはまたもにこりと可愛らしく微笑み、かしこまりました。と言って厨房へと引っ込んだ。

@幸福飯テロリズム

ぴょんのかつどうみていって?

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