「パンの妖精さん」
私の家の近所に、パン屋さんが出来た。窓を開けていれば、朝早くからパンの焼けるいい匂いが私の鼻をくすぐりその香りで目が覚める。そんな夢の様な日常が、私のもとへやってきたのかと嬉しくなり、心が躍った。
その日も、私はパンが焼ける良い香りで目が覚めた。昨日買ったパンは食べきってしまったのだし、今日も買いに行こう。とベッドの中で決めて、私はうーん、と伸びをしてから起き上がった。そして、もそもそとマイペースに身支度を終わらせると、朝の澄み切った空気を堪能しながら私は早朝のパン屋さんへと向かった。
開店したばかりのパン屋さんはとても空いていて、お客さんは私一人しかいなかった。香ばしいパンの匂いがお店一杯に広がっていて、お店の奥をちらりと見ると、オーブンの明かりと、忙しなくパンを焼くブーランジェの影があった。今は何のパンを焼いているのだろうか、と興味深く思って眺めていると、別の扉からクリームパンの乗ったトレーを持った奥さんが出てきた。
「いらっしゃいませー。あら、おはようございます」
私の顔を見て奥さん、もとい姐乃(その)さんは私に笑いかけて言った。
「姐乃さん、おはようございます」
パン屋さんが出来てからほとんど週五で通っていたは既にこのお店の常連で、姐乃さんの中でも私は顔見知りと言う認識になっているようだった。私も挨拶を返すと、姐乃さんはこちらにやってきて世間話を始める。お客様のいないこの時間だから出来る事だ。だからこの時間が好きだったりする。
「昨日買って言ったパン、美味しかったでしょう? あれね、うちのパパが賄いで作ったのが、当時パパがいたブーランジェリーのスタッフからバカウケしちゃったものなのよ。こうしてお店を開く、ってことになったときに、皆から真っ先に商品化を頼まれたの。ここだけの話、パパの渾身の力作よ」
ふふふ、と笑ながら姐乃さんが教えてくれた。
パンが好き過ぎることから企画が発足し、パンへの愛で出来上がったアンソロジー。
パンを愛する人たちに捧げる様々な「パン」の物語。
発行記念に、初版限定で「パン作りすごろく」がついてます。(ぴょんの手作り)
参加者様は総勢20名。すごいでしょ。
以下、素敵な参加者様たちです。
晴雨様 (@ruku66)
病氏様 (@ganyama)
福寿今日亜様 (@kyo_a037kano)
裕樹様 (@youki02)
喜多村雪景様 (@daizu_soy550)
梅川もも様 (@usuasagimoe)
宇極メロ様 (@Moving_Melonpan)
上月琴葉様 (@soukyuuhaguruma)
ダーハナ様 (@dadadadahana)
草群鶏様 (@yamakana10)
小倉さつき様 (@oguramame_s)
明巣様 (@onborobo)
スター様 (@starship0421)
眞崎十一様 (@juichi11masaki)
里崎様 (@lisakilizan)
camel様 (@kaerutorakuda)
新宿エイリ庵様 (@AnnShinjuku)
落除壊琳様 (@ochiharakarin)
NUE様 (@nueee_03)
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